4月11日(土)
早朝から新幹線に3時間ほど乗り東京へ、
さらに東京から電車とバスに1時間半ほどゆられて
千葉県・佐倉にある川村記念美術館へ行ってきました。
愛すべきマーク・ロスコの作品たちを見るために。
1995年の冬、私は高校生で
「マーク・ロスコ」という作家を
まだ知りませんでした
企画展のたびに通いつめていた丸亀市猪熊弦一郎美術館に
作家のことも知らないまま訪れ、
初めてロスコに出会いました。
母を誘って出かけた「マーク・ロスコ展」。
どんな作品が見れるかな〜と
いつもどおりに、いつもの美術館で、
無知な私は
ロスコの作品の前に立ったわけです。
なんの思い入れもなかったわけです。
でもね、なんだかね、
見ているうちに泣けてきちゃったんですよ。
なんの涙かわからないんですけど・・・
ショックを受けたというかなんというか・・・
若き私はその時、
ロスコの作品に捕まえられちゃったんです。
母に「この図録は持っていなきゃだめな気がするんだ」と
一生懸命頼み込んで図録を手に入れました。
「このコはなに泣いてんだか」と母はちょっとあきれていたはず。
その時の図録とチラシは今も大切に持っています。
その後、
5年たち10年たち。
もうあの規模では見る事はできないだろうな〜
なんて思っていたのですが!!!
やってくれました川村記念美術館。
「マーク・ロスコ 瞑想する絵画」
詳しい日程が決まる前から
「なにがあっても絶対行く」と決め、
ワクワクワクワクしておりました。
そして先日、
行ってきたわけなのです。
今回、すごいんです。
ロスコの30点にものぼる「シーグラム壁画」が
15点も揃って展示されているのです!
この「シーグラム壁画」は
アメリカ・ニューヨークのシーグラム・ビルにできる
高級レストランに飾られる予定で、
ロスコが依頼を受けたものでした。
自分の作品だけが飾られる空間を夢見ていたロスコにとって
なんとも嬉しい仕事であったことと思います。
しかし、完成したレストランの雰囲気を見て
ロスコは失望してしまったのです。
思っていた空間ではないと。
契約を破棄したことで
行き場をなくしてしまった作品たちは
ロンドンの旧テート・ギャラリー(現テート・モダン)に9点、
川村記念美術館に7点、
ワシントンのナショナル・ギャラリーに10点、
その他遺族が保管しているのもあるのかな。
とにかく、
まとめて一度も飾られることなく
各地へ散らばってしまったわけです。
それがです!
テート・モダン、ナショナル・ギャラリーの協力を得て
15点が集まっちゃったのです!
今後、二度とないかもしれないことなんです。
歴史に残る展示と言ってもいいんじゃないでしょうか。
通常、ロスコの大型の絵は
鑑賞者を包み込むために
床に近い、かなり低めの位置で掛けられることが
多いのですが、
このシーグラム壁画は
かなり高い位置にかけられていました。
会場にいたスタッフさんに尋ねたところ
「レストランに展示することを想定した高さ」なんだとか。
不思議な空間でしたよ〜
以前、同美術館のロスコルームで見た時と
また違う印象でしたね。
ロスコルームで見たシーグラム壁画では
溺れそうな感覚になりましたが、
今回の展示では
深く穏やかな場所で
降り注いでくるものを浴びるような、
自分が溶かされていくような感覚になりました。
ロスコ自身も見たことのない空間。
ロスコは
天からどんな風にのぞいているのでしょうか?
6月7日までの開催です。
ちょっと行くのが大変な場所ではありますが
興味のある方には
ぜひともあの空間を体験してもらいたいです!
そうそう、
1日がかりでロスコを見に行くわがままに
文句も言わずつきあってくれたお二人さん、
ありがとね。
いい1日がすごせました。
あ、あとせっかくなので・・・
ご存知の方もいるかと思いますが、
このブログのタイトル「色ではなく寸法です」は
ロスコの言葉です。
(もちろんホントは英語でしょうけど)
「色があなたにとって重要なのでしょうね」と聞かれたとき、
ロスコは「いいえ、色ではなく寸法です」と答えたのだそう。
色も重要、
でも
それだけじゃないんだよ。